
| 한글とキーボード | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
現在のハングル入力の入力方式の主流は「2ボル式」といわれるものです。韓国のPCのキーボードにはこの文字配列でハングルの字母が刻印されています。![]() これとは別に「3ボル式」というのがありますが、これは、昔のタイプライターの時代に使われていたものに由来します。 現代語のハングルは、子音字母が14、母音字母が10で、これに濃音と複合母音が入りますが、タイプライターのキーに割り付けることは数的には無理がありませんでした。さらに、韓国語の場合は、伝統的にハングルと漢字は分離して考えられる傾向が強いため、ハングルだけで文書を書くことについて抵抗感や不便さ感じるといったことがありません。 このため、かなり早い時期からハングルタイプライターが普及し、官公庁や企業の文書がこのハングルタイプで作成されていました。ハングルタイプライターは한글타자기(ハングル打字機)通称 한타(ハンタ)と言われていました。漢字は必要な時に手書きで書き込む程度で、あくまでもハングル専用で文書を作るということです。 このハンタで一番問題になるのが、終声の子音の処理でした。初声の子音と終声の子音は同じものであっても打つべき位置や形状が違うわけです。このため、機械的な単純処理しかできないハンタの時代には、初声用の子音活字と終声用の子音活字を別に作り、初声の子音キーと終声の子音キーと、それに中声の母音キーという3種類のキーを配列したのです。これが「3ボル式」です。一番上の数字のところやシフトを使って初声・中声・終声全部を押し込んだわけです。これが3ボル式のキー配置です。○で囲まれているのが終声の子音キーです。 ![]() 母音キーはデッドになっていて母音を打っても先に進まない。そこにそのまま終声の子音キーを打てばうまいこと下の方に終声が打て、終声がない場合は一つ進めて次の初声を打つ。終声が二つあるときとか込み入った複合母音の場合は、BSとか→を使っての微調整が必要になります。 80年代くらいまでの役所や企業や学校には、このハンタをパカパカパカパカっと信じられないようなスピードで打ち上げていく人々がごろごろいました。こんな感じです。(クリックで動画)原始的な機械ですから、終声があるかないかで初声の子音の位置を変えるとか、縦型の母音(ㅏㅓㅣ)か横型の母音(ㅗㅜㅡ)かで子音のかたちを変える(フ/ㄱ)なんぞという器用なことはできませんから、非常に独特な書体になっていました。でも、なかなかあれはあれで味のある書体でしたが。。。。。 今でも、こうした書体のフォントがわざわざ作られて結構よく見かけます。 ![]() これは、휴먼가는팸체(Pam L)というフォントですが、いかにもバランスが悪い。これはまさに機械式に終声を処理していた時の名残で、韓国人はむしろこうした書体に馴染みがある、郷愁があるのかもしれません。 70年代の半ばになってくると、マイコンを組み込んで活字の数も多い活字ディスクを用いた電動タイプライターが出現します。ここで「2ボル式」が登場します。 すなわち、最初に書いたキー配列をみるとわかるように、キーボードには子音キーと母音キーの2種類だけ。子音が初声なのか終声なのかは文字の並びの前後関係でマイコンに判断させる。例えば、 ㄱ ㅏ ㄱ 未確定、次に母音が来るか子音が来るか、あるいはスペ ースか句読点か、入力を待っている。 [ケース1] ㄱ ㅏ ㄱ +スペース/./,「각」で確定 [ケース2] ㄱ ㅏ ㄱ +ㅜ この段階で二つ目の「ㄱ」は次の初声であると判断して1字目を「가」と確定。 [ケース3] ㄱ ㅏ ㄱ +ㄴ この段階で「ㄱㄴ」という終声は存在しないので、「ㄴ」は次の初声であると判断して1字目を「각」と確定。 まぁ、こんなことをマイコンが判断して適切な位置に適切な字形で印字するという、今ではPC上で当たり前のようにできることが、ここではじめて市販の機械で実現できるようになったのです。これが一部で普及し始めたのが20数年前でしょうか。でも、この電動ハンタは相当高額で普通では手が届かなかった。 この「2ボル式」がPCの普及で一般化して今日に至っているということです。80年代はPC・ワープロ・ハンタ共存の時代でした。でも、文書的にはハンタが一番多かったでしょう。 今は、ハンタの「3ボル式」が全盛だった時期からまだ十数年しかたっておらず、「3ボル式」の入力方式はいまだに相当の需要はあると思います。マイクロソフトやアレアハングルなどの韓国の入力方式では「2ボル式」「3ボル式」を選択できるようになっています。ただ、3ボル式は遠からず消滅すると思います。 アルファベットキーを使って入力というのが登場するのはワープロやパソコンが登場してからのことです。ローマ字入力が一般化するためには、(1)ローマ字入力が便利だと思うほど自言語での入力(日本語の場合は仮名入力)が煩瑣である、(2)アルファベットと自言語の対応が共通のものとして広く認識されている、といったことが必要でしょう。 日本語の世界はこの条件を両方とも満たしています。他方、韓国語の世界は、すでにタイプライターでキーを叩いて印字するということが行われていたことからいえば、(1)の条件には当てはまりません。加えて「2ボル式」が開発されたことで一層自言語での入力は楽になったわけですし。また、自言語とアルファベットの規則的対応ということでいうと、韓国語は対応が曖昧です。 日本の場合は、人名や地名はヘボン式ローマ字を使うという約束事が一般化していて、ほぼ統一されたローマ字表記になります。 ところが、韓国語の世界では、かなりてんでんバラバラです。もちろん、文教部方式というスタンダードがあるにはあるのですが、私は、Leeであるという人もいればYiであるとかRheeという人もいる。現代(현대)のHYUNDAI、大宇(대우)のDAEWOOのように、同じ「ㅐ」でも「ai」と「ae」があり、「ㅓ」を「u」と表記することとか「ㅜ」を「oo」と書くこともあります。「ㅜ」を「u」と書くこともあります。 日本語でも、MAZDAなんてのもありますが、これはローマ字表記というよりは商標のようなもので、ちょっと別物でしょう。 こうしたことで言えば、ハングルの世界では日本語の世界のように、アルファベットを介した入力が便利であるという認識は成り立ちにくいと思われます。 日本語の場合、韓国語と決定的に違うのは、漢字なしでは日本語として成り立たないことです。従って、仮名タイプなどという漢字が使えないものはほとんど見向きもされなかったし、ワープロとか日本語入力が可能なパソコンが出てくる80年代の初めまではキーボードと無縁だったわけです。従って、日本語の世界では、キーボードの出現というのとローマ字入力が切っても切れないように思えるわけです。しかし、それは日本語の世界の特殊性によるものと考えた方が良いでしょう。 ちなみに、アレアハングル(HWP準拠ともいわれるもの)のローマ字入力の基本的なパターンは以下の通りです。実際はYにもㅣを割り付けたりしていて、もうちょっとバリエーションがあるのですが。
息の出る音(ㅋㅌㅍㅊ)と出ない音(ㄱㄷㅂㅈ)の割付は比較的簡単ですね。濃音(ㄲㄸㅃㅉㅆ)はSHIFTで処理しています。あと母音は、「ㅏ」「ㅗ」「ㅜ」「ㅣ」は文教部方式と一致していますが、「ㅡ」が「W」に割り当てられているのは、発音記号でwに似たのが使われるためでしょうし、「ㅓ」が「E」に割り当てられているのは、「ㅓ」が旧来の方式で「eo」とローマ字表記されてきたことと関係があるのでしょう。これに加えて、複合母音をどう打つかという約束事があります。 しかし、これは絶対的なスタンダードではないので、どのローマ字入力でもこうであるとはいえません。アレアハングルは韓国では国民的ソフトですからスタンダードに近いかも知れませんが、どこに行ってどんなソフトでも打てるかということになると不安があります。 というわけで、自分のPCで自分専用にハングルを入力するのであれば、どんな方式であれ自分が一番入力しやすいものを使えばいいのですが、異なった環境でハングルを入力するかも知れないとということがあるのなら、やはり「2ボル式」でしょうね。「2ボル式」であれば韓国ではキーボードにしっかり印字されているので間違いなく使えます。 といことで、韓国では2ボル式が圧倒的で、日本語の世界で便利だと思われているローマ字入力は、韓国ではあまり使われないというのは、単なる好みの問題ではなく文化や歴史の背景があるわけです。 (最終更新2006/10/15/Sun/09:04:41)
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||